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渦度と速度の関係について【渦度とは?】

 広く知られているように、流体の引き起こす興味深い現象の背景には、が関与していることが多い。ここでは、「流れの回転の度合いと、流れの回転の強さと向きを示す物理量」である、渦度について解説する。

 さて、ある時刻 $t$ 、位置 $\B{x}=(x_1,x_2,x_3)$ における流体の速度 $\B{u}$ を、以下の様に記述するとしよう。

$$
\begin{split}
\B{u} = (u_1, u_2, u_3) = \B{u}(\B{x},t)
\end{split} \tag{1}
$$

渦度とは?

 このとき、速度の回転 ( $\RM{rot}\,\B{u}$ ないしは $\RM{curl}\,\B{u}$ ) 渦度と呼ぶことにする。すなわち、渦度 $\B{\om}(\B{x},t)$ は以下のように表される。($\B{i}, \B{j}, \B{k}$ は単位ベクトル)

$$
\begin{split}
\B{\om}(\B{x},t) &= \rot\, \B{u} = \curl\,\B{u} \EE
&= \nabla \times \B{u} \EE
&=
\begin{vmatrix}
\B{i} & \B{j} & \B{k} \EE
\DL{\ff{\del}{\del x_1}} & \DL{\ff{\del}{\del x_2}} & \DL{\ff{\del}{\del x_3}} \EE
u_1 & u_2 & u_3
\end{vmatrix} \\[8pt]
&= \left( \ff{\del u_3}{\del x_2}-\ff{\del u_2}{\del x_3},\,\ff{\del u_1}{\del x_3}-\ff{\del u_3}{\del x_1},\,\ff{\del u_2}{\del x_1}-\ff{\del u_1}{\del x_2} \right) \\[8pt]
&= (\om_1, \om_2, \om_3)
\end{split} \tag{2}
$$

このように、渦度は様々なバリエーションにより表示されるのである。

 流れの記述と理解における、渦度の重要性は、第1に、(2)式を逆変換することで、速度場を渦度場の積分として表現できること。第2に粘性が無視でき、かつ流体がバロトロピー流体(=流体の密度 $\rho$ が圧力 $p$ の単価関数で表せる)、そして外力が保存力である場合、渦度がヘルムホルツの法則として知られる保存原理を満たし、それゆえ渦度を「追跡」できることに由来する。

渦度と流体の回転との関係

 今後のため、渦度と流体の回転の関係について明確にしておこう。状況を明確にするため、角速度 $\zeta$ で回転している剛体円板上での運動を考える。すなわち、中心から $r$ 離れ、$x_1$ 軸から $\q$ の角度にある点での速度の成分は、下図より、

$$
\left\{
\begin{split}
&u_1 = -r\,\zeta\sin\q \EE
&u_2 = r\,\zeta\cos\q
\end{split}
\right.
$$

と表せる。このとき、デカルト座標系と極座標系との対応関係($x_1=r\cos\q,\, x_2=r\sin\q$)から、

$$
\left\{
\begin{split}
&u_1 = -\zeta\,x_2 \EE
&u_2 = \zeta\,x_1
\end{split}
\right.
$$

と言える。これを前述の渦度の定義式に適用すると、

\begin{split}
\om_3 &= \ff{\del u_2}{\del x_1}-\ff{\del u_1}{\del x_2} = \zeta-(-\zeta) = 2\zeta
\end{split}

と求められる。これより、渦度は流体の角速度成分を持っている(もっと言えば渦度の成分は角速度の2倍に等しい)ことが分かる。このことは、別の機会に説明する渦度テンソルとも関わりを持っている。

アインシュタインの総和規約・エディントンのイプシロンによる渦度の表現

 様々ある渦度の表記法の内、アインシュタインの総和規約エディントンのイプシロン $\eps_{ijk}$ による記法による渦度の記法も紹介しておこう。結論を先に書けば、渦度はこのようにも表現できる。

$$
\begin{split}
\om_i &= \eps_{ijk} \ff{\del u_k}{\del x_j}
\end{split} \tag{3}
$$

このように表現できる理由は以下の通りである。

 まず、(3)において、$i=1$ と仮にすると、アインシュタインの総和規約から右辺はこのように書き下すことができる。

$$
\begin{split}
\om_1 &= \eps_{111} \ff{\del u_1}{\del x_1}+\eps_{112} \ff{\del u_2}{\del x_1}+\eps_{113} \ff{\del u_3}{\del x_1} \EE
&\qquad +\eps_{121} \ff{\del u_1}{\del x_2}+\eps_{122} \ff{\del u_2}{\del x_2}+\eps_{123} \ff{\del u_3}{\del x_2} \EE
&\qquad\quad +\eps_{131} \ff{\del u_1}{\del x_3}+\eps_{132} \ff{\del u_2}{\del x_3}+\eps_{133} \ff{\del u_3}{\del x_3}
\end{split} \tag{4}
$$

 次に、エディントンのイプシロンがこのように定義されることに注意しよう。

$$
\eps_{ijk}=
\left\{
\begin{split}
&1 \quad \big( (i,j,k)=(1,2,3), (2,3,1), (3,1,2) \big) \EE
&-1 \quad \big( (i,j,k)=(1,3,2), (3,2,1), (2,1,3) \big)\EE
&0 \quad (\text{otherwise})
\end{split}
\right. \tag{5}
$$

(5)を(4)に適用すると、$\eps_{123},\, \eps_{132}$ 以外の係数が $0$ になることから、結局2つの項のみが生き残り、

$$
\begin{split}
\om_1 &= \ff{\del u_3}{\del x_2}-\ff{\del u_2}{\del x_3}
\end{split}
$$

となることが分かる。

 $i=2,3$ に対しても同様のことを行えば、(2)に示した渦度の表式と一致することが導ける。したがって、渦度は

$$
\begin{split}
\om_i &= \eps_{ijk} \ff{\del u_k}{\del x_j}
\end{split}
$$

とも表現できることが示せた。

渦度のソレノイダル性とは?

 さて、渦度はその定義上、ソレノイダル性(=非発散性)を持つと言う重要な性質を持つ。すなわち、

$$
\begin{split}
\div\, \B{\om} = \ff{\del \om_i}{\del x_i} = \ff{\del \om_1}{\del x_1}+\ff{\del \om_2}{\del x_2}+\ff{\del \om_3}{\del x_3} = 0
\end{split} \tag{6}
$$

が成立するのである。渦度のソレノイダル性の証明は以下の通りである。

$$
\begin{split}
\div\, \B{\om} &= \ff{\del \om_1}{\del x_1}+\ff{\del \om_2}{\del x_2}+\ff{\del \om_3}{\del x_3} \EE
&= \ff{\del}{\del x_1} \left( \ff{\del u_3}{\del x_2}-\ff{\del u_2}{\del x_3} \right)+\ff{\del}{\del x_2} \left( \ff{\del u_1}{\del x_3}-\ff{\del u_3}{\del x_1} \right)+\ff{\del}{\del x_3} \left( \ff{\del u_2}{\del x_1}-\ff{\del u_1}{\del x_2} \right) \EE
&= \ff{\del^2 u_3}{\del x_1\del x_2}-\ff{\del^2 u_2}{\del x_1\del x_3}+\ff{\del^2 u_1}{\del x_2\del x_3}-\ff{\del^2 u_3}{\del x_1\del x_2}+\ff{\del^2 u_2}{\del x_1\del x_3}-\ff{\del^2 u_1}{\del x_2\del x_3} \EE
&= 0
\end{split}
$$

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