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渦無し流れ・ベルトラミ流

渦無し流れとは?

 流体力学における渦無し流れとは、その領域内で渦度を持たない流れのことを言う。つまり、流体の速度場を $\B{u}$ として、渦無し流れでは以下が成立する。

流体の速度を $\B{u}$、渦度を $\B{\om}$ として、以下が成立する流れを渦無し流れと呼ぶ。

$$
\begin{split}
\rot\,\B{u} = \B{\om} = \B{0}
\end{split} \tag{1}
$$

 また、よく知られているように、渦無し流れの速度場には速度ポテンシャルと呼ばれるスカラー $\phi(\B{x},t)$ が対応して、

$$
\begin{split}
\B{u} = \nabla \phi
\end{split} \tag{2}
$$

という関係が成立する。

 領域が単連結の場合、任意の閉曲線周りの循環は零(曲線によって境界づけられた面を通る渦度の流束にも等しい)であるため、速度ポテンシャルは単価である。ただし領域が多重連結の場合は、閉曲線が縮約できないため、その循環は消失せず、ゆえに速度ポテンシャルは単価とはならない。

 なお、ある点 $P$ での速度ポテンシャルは、以下の線積分を通して与えられる。

$$
\begin{split}
\phi(P) = \int_A^P \B{u}\cdot\,\diff \B{s}
\end{split}
$$

基準点 $A$ は任意ではあるが、ストークスの定理と渦度の不存在という条件は(単連結な領域内では)$A$ から $P$ へのあらゆる経路に対して同じ値であることを保証する。

渦無し流れ(ポテンシャル流れ)のラプラス方程式について

 ヘルムホルツの渦定理または循環定理からは、バロトロピー流体の流体粒子は、保存力のみの作用下では渦が不生不滅であることが言える。

 この主張から、境界の運動によって静止状態から運動状態に移行する流れについては、渦無し流れに関しての大きな関心を生み出す。関心が向けられる理由は、流体が非圧縮の場合、$\div\,\B{u} = 0$ が成立するため、$\phi$ はラプラス方程式

$$
\begin{split}
\nabla\cdot\B{u} = \nabla\cdot(\nabla \phi) = \nabla^2 \phi = 0
\end{split}
$$

を満たすためである。ラプラス方程式には多くの解が知られており、それゆえ、渦無し流れの性質も知ることができる。

ベルトラミ流とは?

 さて、渦度方程式に現れた $\B{u}\times \B{\om}$ の項について、$\B{u}\parallel \B{\om}$ であれば、$\B{u}\times \B{\om} = \B{0}$ となるが、このような流れをベルトラミ流と呼ぶ。

流体の速度を $\B{u}$、渦度を $\B{\om}$ として、これらが平行な流れ、
すなわち $\B{u}\parallel \B{\om}$ の流れをベルトラミ流と呼ぶ。

 ベルトラミ流の定義に従えば、$\lambda$ を定数として、

$$
\begin{split}
\B{\om} = \nabla \times \B{u} = \lambda \B{u}
\end{split}
$$

が成立すると言える。

 また、オイラーの運動方程式について考えると、$(\B{u}\cdot \nabla)\B{u} = \DL{ \nabla\left( \ff{1}{2}|\B{u}|^2 \right)-\B{u}\times \B{\om} }$ の恒等式より以下の様に変形できるが、

$$
\begin{split}
\ff{\del \B{u}}{\del t}+\nabla\left( \ff{1}{2}|\B{u}|^2 \right)-\B{u}\times \B{\om} = -\ff{1}{\rho}\nabla p+\B{f}
\end{split}
$$

さらに、定常流かつ流体に保存力のみが作用しているとき、

$$
\begin{split}
\nabla\left( \ff{1}{2}|\B{u}|^2 \right)-\B{u}\times \B{\om} = -\ff{1}{\rho}\nabla p
\end{split}
$$

と簡単にできる。そして、ベルトラミ流のとき $ \B{u}\times \B{\om} = \B{0} $ であるので、

$$
\begin{split}
\nabla\left( \ff{1}{2}|\B{u}|^2 \right) = -\ff{1}{\rho}\nabla p \EE
\therefore\,\, \nabla \left( \ff{1}{2}|\B{u}|^2+\ff{p}{\rho} \right) = \B{0}
\end{split}
$$

となって、ベルトラミ流の場合は、圧力を上手く取れば定常解を導けるという大きな利点があることが分かる。

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