流体力学で「運動量」や「角運動量」を考えるとき、質点の力学や剛体の力学の論理をそのまま使えるとは限らない。特に、無限に広がる流体中に局在した渦を考える場合、速度場は遠方まで広がるため、単純な運動量積分や角運動量積分がうまく定義できないことがある。
そこで登場するのが、流体力学的インパルスと角運動量インパルスである。
流体力学的インパルスは、無限流体中の渦に対して通常の運動量の代わりに使える量である。それに対して角運動量インパルスは、渦運動が持つ「角運動量的な性質」を表す量である。
この記事では、角運動量インパルスの定義、物理的意味、保存則、そして渦輪との関係を整理する。
なぜ普通の角運動量では不十分なのか?
通常の力学では、角運動量は
$$
\boldsymbol{L} = \int \boldsymbol{x}\times \boldsymbol{u}\,\diff V
$$
のように表される。ここに $\boldsymbol{x}$ は位置ベクトル、$\boldsymbol{u}$ は速度場である。なお、簡単のため密度一定、または単位密度として考えている。
しかし、この角運動量を無限に広がる流体中の渦運動に当てはめると、この積分が発散したり、値が積分領域の取り方に依存したりすることがある。
こう言える理由は、渦が有限領域に局在していても、それが誘起する速度場は遠方まで広がっているからである。つまり、渦度そのものは局所的でも、誘導される速度場は空間全体に広がっているのである。
そのため、無限流体中の渦については、速度場をそのまま積分するよりも、渦度分布から定義される保存量を使う方が自然となる。
その代表例が、流体力学的インパルスと角運動量インパルスなのである。
流体インパルスの復習
角運動量インパルスを理解する前に、流体力学的インパルスについて簡単に確認する。今、3次元の非圧縮流体で、渦度
$$
\boldsymbol{\omega}=\nabla\times\boldsymbol{u}
$$
が有限領域に局在しているとする。このとき、流体力学的インパルス $\boldsymbol{I}$ は
$$
\boldsymbol{I} = \frac{1}{2}
\int
\boldsymbol{x}\times\boldsymbol{\omega}\,\diff V
$$
で定義される。この量は、無限流体中の渦運動において、通常の運動量に対応する役割を持つ。さらに、非保存的な外力密度を $\boldsymbol{F}$ とすると、無限流体中では
$$
\frac{\diff\boldsymbol{I}}{\diff t} = \int \boldsymbol{F}\,\diff V
$$
となる。(→流体力学的インパルスと力の関係)これは、質点の力学の
$$
\frac{\diff\boldsymbol{p}}{\diff t}=\boldsymbol{F}
$$
に対応している。したがって、外力がなければ
$$
\frac{\diff\boldsymbol{I}}{\diff t}=0
$$
となり、流体力学的インパルスは保存される。つまり流体力学的インパルスは、無限流体中の渦運動に対して、普通の運動量の代役を果たす量だと考えることができる。
角運動量インパルスの定義
流体インパルスが「運動量的な量」であるなら、そのモーメントに対応する「角運動量的な量」も考えることができよう。それこそが 角運動量インパルスである。
流体が最初は静止しており、瞬間的な力積密度 $\boldsymbol{f}$ によって、ある速度場や渦度場が生成されたとしよう。このとき、以下の力積のモーメント
$$
\boldsymbol{A} = \int \boldsymbol{x}\times\boldsymbol{f}\,\diff V
$$
を角運動量インパルスと呼ぶ。これは、通常の力学における
$$
\text{角運動量} = \text{位置ベクトル}\times\text{運動量}
$$
に対応する発想である。流体力学的インパルスが
$$
\boldsymbol{I} = \int \boldsymbol{f}\,\diff V
$$
に対応するなら、角運動量インパルスは
$$
\boldsymbol{A} = \int \boldsymbol{x}\times\boldsymbol{f}\,\diff V
$$
に対応する。つまり、角運動量インパルスとは、
渦運動を瞬間的に生成するために必要な力積が、どれだけ回転的な作用を持つかを表す量
と言える。
渦度で表した角運動量インパルス
角運動量インパルスは、実際には渦度分布を用いて表すことができる。ある瞬間の力積密度 $\boldsymbol{f}$ によって渦度場が生成されるとき、基本的には
$$
\nabla\times\boldsymbol{f} =
\boldsymbol{\omega}
$$
という関係が成立する。この関係を使うと、有限領域に局在した渦度場に対して、角運動量インパルスは
$$
\boldsymbol{A} =
\frac{1}{2}
\int |\boldsymbol{x}|^2\boldsymbol{\omega}\,\diff V
$$
と書ける。ここに
$$
|\boldsymbol{x}|^2=x_1^2+x_2^2+x_3^2
$$
である。この式から分かるように、角運動量インパルスは、渦度を単純に足し合わせるのではなく、原点からの距離の二乗で重み付けして足し合わせた量となることが分かる。
直感的には、原点から遠い場所にある渦度ほど、角運動量インパルスに大きく寄与するということである。
別表現:Batchelor 型の式
角運動量インパルスには、別の表現もある。代表的なものが、次の形である。
$$
\boldsymbol{A} = \frac{1}{3}
\int \boldsymbol{x}\times
\left( \boldsymbol{x}\times\boldsymbol{\omega} \right) \,\diff V
$$
一見すると、先ほどの
$$
\boldsymbol{A} = \frac{1}{2}
\int |\boldsymbol{x}|^2\boldsymbol{\omega}\,\diff V
$$
とは違う形に見えるが、渦度が有限領域に閉じ込められており、境界面で
$$
\boldsymbol{\omega}\cdot\boldsymbol{n}=0
$$
が成り立つ場合、これらは同じ物理量を表す。ここで $\boldsymbol{n}$ は境界面の外向き単位法線である。つまり、角運動量インパルスには複数の表式があるが、孤立した3次元渦のような適切な条件のもとでは、それらは同等になるのだ。
保存則:外力モーメントがなければ角運動量インパルスは保存される
角運動量インパルスの重要な性質は、無限流体中で非保存的な外力がなければ保存されるのである。今、非保存的な外力密度を $\boldsymbol{F}$ とすると、角運動量インパルスは
$$
\frac{\diff \boldsymbol{A}}{\diff t} =\int \boldsymbol{x}\times\boldsymbol{F}\,\diff V
$$
を満たす。
3次元・非圧縮・密度一定の無限流体を考えます。密度は簡単のため $1$ とします。角運動量インパルスを
$$
\boldsymbol{A} = \frac{1}{2}
\int |\boldsymbol{x}|^2\boldsymbol{\omega}\, \diff V \tag{a}
$$
と定義します。ここで
$$
\boldsymbol{\omega} = \nabla\times\boldsymbol{u}
$$
は渦度です。式$(a)$ を時間微分すると、
$$
\frac{\diff \boldsymbol{A}}{\diff t} = \frac{1}{2}
\int |\boldsymbol{x}|^2 \frac{\partial \boldsymbol{\omega}}{\partial t} \,\diff V
$$
となります。
- 渦度方程式を使う
非圧縮・非粘性流体で、非保存的外力 $\boldsymbol{F}$ がある場合、渦度方程式は
$$
\frac{\partial \boldsymbol{\omega}}{\partial t} = \nabla\times
\left( \boldsymbol{u}\times\boldsymbol{\omega} \right)+\nabla\times\boldsymbol{F}
$$
と書けます。したがって、
$$
\begin{split}
\frac{\diff \boldsymbol{A}}{\diff t} &= \frac{1}{2}
\int |\boldsymbol{x}|^2 \nabla\times \left( \boldsymbol{u}\times\boldsymbol{\omega} \right) \,\diff V +\frac{1}{2} \int |\boldsymbol{x}|^2 \nabla\times\boldsymbol{F} \,\diff V
\end{split}
$$
となります。ここで、右辺は渦自身による項・外力による項に分かれます。
- 重要なベクトル恒等式
任意のベクトル場 $\boldsymbol{a}$ に対して、次の恒等式を使います。
$$
-\frac{1}{2} \int_V |\boldsymbol{x}|^2 \nabla\times\boldsymbol{a} \,\diff V =
\int_V \boldsymbol{x}\times\boldsymbol{a} \,\diff V-\frac{1}{2} \int_S |\boldsymbol{x}|^2 \boldsymbol{n}\times\boldsymbol{a}\, \diff S
$$
これは
$$
\nabla\times \left( |\boldsymbol{x}|^2\boldsymbol{a} \right) = 2\boldsymbol{x}\times\boldsymbol{a}+|\boldsymbol{x}|^2\nabla\times\boldsymbol{a}
$$
を体積積分し、ストークス型の面積分に変換すれば得られます。
- 外力項を計算する
まず
$$
\boldsymbol{a}=\boldsymbol{F}
$$
とすると、
$$
-\frac{1}{2} \int|\boldsymbol{x}|^2 \nabla\times\boldsymbol{F} \,\diff V =
\int \boldsymbol{x}\times\boldsymbol{F}\,\diff V-
\frac{1}{2} \int_S |\boldsymbol{x}|^2 \boldsymbol{n}\times\boldsymbol{F}\,\diff S
$$
です。いま考えているのは無限流体で、外力 $\boldsymbol{F}$ は有限領域にだけ作用するとします。すると、十分遠方の境界では
$$
\boldsymbol{F}=0
$$
なので、面積分は消えます。したがって外力項は
$$
\int \boldsymbol{x}\times\boldsymbol{F}\, \diff V
$$
だけ残ります。これはまさに「外力のモーメント」、つまりトルクです。
- 渦自身による項はどうなるか
次に
$$
\boldsymbol{a} = \boldsymbol{u}\times\boldsymbol{\omega}
$$
とします。すると渦自身による項は
$$
-\frac{1}{2} \int |\boldsymbol{x}|^2\, \nabla\times
\left( \boldsymbol{u}\times\boldsymbol{\omega} \right)\,\diff V
$$
です。同じ恒等式から、
$$
\int \boldsymbol{x}\times
\left( \boldsymbol{u}\times\boldsymbol{\omega} \right) \, \diff V-
\frac{1}{2} \int_S |\boldsymbol{x}|^2 \boldsymbol{n}\times
\left( \boldsymbol{u}\times\boldsymbol{\omega} \right)\, \diff S
$$
となります。ここで、渦度 $\boldsymbol{\omega}$ が有限領域に局在しているとします。つまり、十分遠方では
$$
\boldsymbol{\omega}=0
$$
です。したがって、面積分のうち
$$
\boldsymbol{n}\times \left( \boldsymbol{u}\times\boldsymbol{\omega} \right)
$$
を含む項は遠方で消えます。さらに、残った体積積分
$$
\int \boldsymbol{x}\times
\left( \boldsymbol{u}\times\boldsymbol{\omega} \right) \, \diff V
$$
も、無限遠方の面積分に変形できます。実際、
$$
\boldsymbol{u}\times\boldsymbol{\omega} =
\nabla\left(\frac{1}{2}|\boldsymbol{u}|^2\right)-(\boldsymbol{u}\cdot\nabla)\boldsymbol{u}
$$
を使うと、
$$
\int \boldsymbol{x}\times
\left( \boldsymbol{u}\times\boldsymbol{\omega} \right) \, \diff V
$$
は遠方境界上の面積分に直せます。無限遠方では、局在渦による速度場は十分速く減衰します。3次元の孤立渦では典型的に
$$
|\boldsymbol{u}| = O(r^{-3})
$$
のように減衰するので、この面積分も消えます。したがって、渦自身による項は最終的に
$$
0
$$
になります。
- 結果
以上より、
$$
\frac{\diff \boldsymbol{A}}{\diff t}
=
\int \boldsymbol{x}\times\boldsymbol{F} \, \diff V
$$
が得られます。つまり、
$$
\boxed{
\frac{\diff \boldsymbol{A}}{\diff t}
=
\int \boldsymbol{x}\times\boldsymbol{F} \, \diff V
}
$$
です。これは通常の力学における
$$
\frac{\diff \boldsymbol{L}}{\diff t} = \boldsymbol{N}
$$
に対応しています。つまり、
$$
\text{角運動量インパルスの時間変化} = \text{外力のモーメント}
$$
という関係です。
- 非保存的な外力がなければ保存される
もし非保存的な外力がなければ、
$$
\boldsymbol{F}=0
$$
なので、
$$
\frac{\diff \boldsymbol{A}}{\diff t}=0
$$
となります。したがって、
$$
\boldsymbol{A} = const.
$$
です。これが、無限流体中で非保存的外力がなければ、角運動量インパルスは保存されるという主張の意味です。ポイントは、普通の角運動量そのものではなく、渦度分布から定義される
$$
\boldsymbol{A} = -\frac{1}{2} \int |\boldsymbol{x}|^2\,\boldsymbol{\omega}\,\diff V
$$
が保存量として働く、という点です。(補足終わり)
これは、通常の力学における
$$
\frac{\diff \boldsymbol{L}}{\diff t} = \boldsymbol{N}
$$
と対応する。なお $\boldsymbol{N}$ はトルクである。つまり、角運動量インパルスの時間変化は、外力のモーメントによって決まるのだ。したがって、外力がない、あるいは外力のモーメントがゼロであるなら、
$$
\frac{\diff \boldsymbol{A}}{\diff t} = \B{0}
$$
となり、角運動量インパルスは保存される。
普通の角運動量との関係
繰り返しになるが、角運動量インパルスは、通常の角運動量そのものではない。通常の角運動量は
$$
\int
\boldsymbol{x}\times\boldsymbol{u}\,\diff V
$$
である一方、角運動量インパルスは
$$
\boldsymbol{A} =
\frac{1}{2} \int |\boldsymbol{x}|^2\boldsymbol{\omega}\,\diff V
$$
のように、渦度を用いて定義される。
無限流体中では、通常の角運動量積分は発散あるいは、境界の取り方に依存したりする場合がある。そのため、渦運動の保存量としては、角運動量インパルスの方が扱いやすい量となる。
ただし、渦度をすべて含む十分大きな球形領域を考えると、角運動量インパルスはその球形領域内の流体の角運動量と一致する。これは、球面上では圧力によるトルクが消えるためである。したがって、次のように整理できる。
・一般には、普通の角運動量と角運動量インパルスは同じではない。
・無限流体中では、普通の角運動量は扱いにくい。
・渦度を含む球形領域を考えると、角運動量インパルスはその領域の角運動量として解釈できる。
渦輪における意味
渦輪では、渦度はトーラス状の領域に集中している。このとき流体力学的インパルス
$$
\boldsymbol{I} = \frac{1}{2} \int \boldsymbol{x}\times\boldsymbol{\omega}\,\diff V
$$
は、渦輪の進行方向と深く関係している。渦輪が自分自身の誘起速度によって進む現象を考えるうえで、流体力学的インパルスは重要な量となる。一方、角運動量インパルス
$$
\boldsymbol{A} = \frac{1}{2} \int |\boldsymbol{x}|^2\boldsymbol{\omega}\,\diff V
$$
は、渦度分布がどのように空間的に広がっているかを反映している。たとえば、同じ渦度量であっても、原点から遠い位置に分布しているほど、角運動量インパルスへの寄与は大きくなる。
そのため、角運動量インパルスは、渦輪の大きさ、広がり、配置、回転的性質を特徴づける量として使える。
特に、3次元の孤立渦では、通常の意味での「渦度の重心」がうまく定義できないことがありる。そのような場合に、流体インパルスや角運動量インパルスを用いることで、渦の位置や運動を特徴づけることができるのである。
線渦近似での角運動量インパルス
渦輪を細い線渦として近似すると、式はより見通しやすくなる。例えば、強さ $\Gamma$ の線渦が曲線 $\boldsymbol{R}(s)$ に沿って存在するとき、流体力学的インパルスは
$$
\boldsymbol{I} = \frac{\Gamma}{2} \oint \boldsymbol{R}\times \diff \boldsymbol{s}
$$
と表される。また、角運動量インパルスは
$$
\boldsymbol{A} = \frac{\Gamma}{2} \oint |\boldsymbol{R}|^2 \diff \boldsymbol{s}
$$
となる。
この形は、渦度が細い線上に集中している場合に対応する。たとえば、円形の渦輪では、流体力学的インパルスは渦輪が囲む面積に比例する。これは、渦輪の半径が大きいほど、同じ循環でもより大きなインパルスを持つことを意味する。
線渦近似は、渦輪の幾何学的性質とインパルスの関係を直感的に理解するうえで非常に有用である。
2次元流との違い
ここまでの議論は、主に3次元の孤立渦を念頭に置いていた。
2次元流では、渦度は面に垂直なスカラー量として扱える。この場合、流体力学的インパルスや角運動量インパルスの式は3次元の場合と少し異なる。2次元では、流体力学的インパルスはしばしば
$$
\boldsymbol{I} = \int \omega\,\boldsymbol{r}\times\boldsymbol{k}\,\diff S
$$
の形で表される。また、2次元の角運動量インパルスはスカラー量として
$$
A = \frac{1}{2} \int r^2\omega\,\diff S
$$
のように定義される。ただし、2次元流では総渦度
$$
\Gamma = \int \omega\,\diff S
$$
が必ずしもゼロでないため、重心やインパルスの原点依存性が3次元の場合とは異なる。そのため、3次元の角運動量インパルスをそのまま2次元に移すのではなく、次元ごとの違いに注意する必要がある。
粘性の影響
非粘性流体、すなわち Euler 方程式の範囲では、外力がなければ流体インパルスと角運動量インパルスは保存される。
では、粘性を持つ Navier-Stokes 方程式ではどうなるのかというと、無限に広がる3次元流体で、そして速度場や渦度場が遠方で十分速く減衰する場合、粘性項は流体インパルスや角運動量インパルスの時間変化に寄与しないのである。
したがって、3次元の無限流体では、粘性があっても流体インパルスと角運動量インパルスの保存性は保たれるのである。
ただし、2次元流では事情が少し異なりる。2次元では、角運動量インパルスが粘性によって変化する場合があり、この違いは、2次元渦と3次元渦の構造的な違いを反映している。
物理的イメージ
角運動量インパルスを直感的に言えば、
渦度分布が持つ「回転的な力積のモーメント」
となる。
流体力学的インパルスが、渦全体がどちら向きに進もうとするかを表す量だとすれば、角運動量インパルスは、その渦度分布がどのような回転的な広がりを持っているかを表す量と言える。
より噛み砕くと、次のように整理できる。
- 流体インパルスは、渦運動の「運動量的な量」である。
- 角運動量インパルスは、渦運動の「角運動量的な量」である。
- どちらも、無限流体中の局在した渦に対して自然に定義される。
- 通常の運動量や角運動量が扱いにくい場合でも、渦度分布を使って定義できる。
- 外力がなければ保存され、外力があればその力積やトルクに応じて変化する。
渦輪、孤立渦、線渦近似、軸対称渦の解析では、これらの量を使うことで、渦の運動をより整理して理解できる。
まとめ
角運動量インパルスは、無限流体中の渦運動において、通常の角運動量に対応する役割を果たす量である。定義は、瞬間力積密度 $\boldsymbol{f}$ のモーメントとして
$$
\boldsymbol{A} = \int \boldsymbol{x}\times\boldsymbol{f}\,\diff V
$$
である。また、渦度を用いると
$$
\boldsymbol{A} = \frac{1}{2} \int |\boldsymbol{x}|^2\boldsymbol{\omega}\,\diff V
$$
と書ける。さらに、非保存的な外力 $\boldsymbol{F}$ がある場合、
$$
\frac{\diff \boldsymbol{A}}{\diff t} = \int \boldsymbol{x}\times\boldsymbol{F}\,\diff V
$$
が成り立つ。つまり、外力のモーメントがなければ、角運動量インパルスは保存される。角運動量インパルスは、渦度分布の広がりや回転的性質を表す量であり、渦輪や孤立渦の運動を記述するうえで重要な道具である。
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